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水墨画は簡単か?

水墨画教室を探すと、絵心無くてもすぐ描ける、簡単、などの言葉が躍っている。しかし私にはそうは思えない。

よく言われることに「油絵は間違えても部分的に塗りなおせるが、墨の場合又書き直すので大変ですね。」である。確かに修正の利かない難しさはある。しかし絵画の成り立ちから違うことを理解しなければならない。

最も大きな違いは(最近はジャンルを超えてお互いに影響を与え合っているので一概には言えないとしても)、成り立ちを考えると筆によって塗るのと筆によって描く違いがある。また、必然性を重視するのと、偶然性を積極的に取り入れる差があると考える。

東洋人の思想の中には自然には人知を超えた何かが存在すると考えている。その何かに敬意を払っている。水墨画にも日本画と同じ描き方をする工筆画もあるが、写意画は決して自分の思い通りにはならない滲む紙に墨と水を使って目ではとらえられない何かを描こうとする。

最近展覧会を見てもつまらない画が多くなっている。墨と水を使って滲む紙に描くという水墨画本来の意義を見失っているのではないか。

「絵心」とは何だろう。辞典などによると、「1 絵を描く心得、また趣味。あるいは、絵の趣を理解する能力。2 絵をかきたい気持ち。」と解説されている。

少なくとも私には水墨画は簡単ではなかった。「絵心無くても誰でも簡単に水墨画を描ける」と生徒集めをしている先生と呼ばれる人は天才なのでしょう。凡人である一般人がまねをしても恐らくだめだと思う。スポーツの世界でも一流の選手必ずしも一流の指導者になれないと言われている。あり余る能力を持った人にはその能力のない人がいることすらわからないのではないか。従って選手時代活躍をほとんどしなかった者が指導者として大成するということがよくある。

私がなぜ水墨画を教えようとしているのか。その答えは簡単である。私が凡人だからである。もしあなたが非凡な才能の持ち主ならば、勿論後世に名を残すような大先生に教えを乞うべきである。しかし大多数のものはそのような才能を持ち合わせているとはいいがたい。ごく普通の人がどこでつまずくのか、何に苦労するのかを身をもって知っているから軽々しく簡単とは言えない。

では難しいからやめるのか? 経験の有る無しにかかわらず、絵を描きたい気持ち(絵心の2)があり、続ける意思があればあなたは水墨画(墨彩画)に取り組むべきである。

臨機応変という言葉がある。水墨画は下書きのない絵である。例えば最初に一本の線を引いたとする。自分の構想に従って白い紙に線を引いたときから、線質、濃淡、滲み、かすれ、位置、長短、巾、勢いなど数えればきりがないほどの違いが表れる。修練を積むほど、ぶれる幅は小さくなるにしても全く同じものを描くことは不可能である。次に線を描くとなれば当初予定通りに描くのか、微妙に変化させるのか、さらに続けていけば当初予定にはない変化を加えなければならなくなる。すなわち一筆一筆考えながら臨機応変に描いていかなくてはならない。時には作家自身が思いもしないような展開になることもある。偶然と必然が混とんと一体となった時に人に感動を与える作品となる。

私が考える難しさとはどこにあるのか? 初心者は寸分違わずお手本通り描こうとする。筆を走らせる途中でお手本を見ることになり、筆に迷いが生じだめにしてしまう。お手本の形にばかり気をとらわれてしまいがちになる。形も大事であるが、もっと大切なことがたくさんお手本には詰まっているのを見逃しがちである。

私はお手本通り描きなさいとは決して言わない。そうは言っても初心者でもたとえ中級者でもお手本から離れることは至難の業であろう。お手本から離れるのではなく、お手本に沿いながら、お手本通りに描けないと嘆くのではなく、軌道修正の方法を一緒に考える。その人が画がいているところをしっかりと見ながら、描いているプロセスの中で何につまずいているのか、どこがその人にとって難しいのか、苦労している個所を見つけながら私も同じように躓いたものとして指導できる。(つづく)

 

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