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水墨画に器用さは必要か

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 確かこの画だったと思うが、数年前ある展覧会で「器用だから描ける」と言われたことがある。最大の侮辱だと思っても耐えるしかなかった。「器用に描いている」とは絵に作者の思い、感動、など何ら描かれていないという意味になるのだろう。今見ても「器用だから描ける」と言われた真意がわからない。手先の器用さでは描けない大胆さが画の見どころになっていると思っている。

 画を見て「器用」というとき、まさか作者の生き方が器用であると言っているのではないだろう。「器用」という言葉の響きには手先の器用さをイメージさせるものがある。画の世界でよほど名を挙げた人物ならば「世渡りが器用と」そしりを受けることもありうると思えるが、平凡な人生を送っている者にとっては的外れであろう。

 ただその後この「器用」という言葉を時に耳にすることがある。私の作品を見てお褒め頂く人に水墨画を始めませんかと勧めた時、「私は不器用だから描けません」と返事が返ってくることがある。油絵などとは違って水墨画は手先が器用だから描けると思っているらしい。

 手芸、工芸では手先の器用さが求められるかもしれないが、それは必要条件であってそれだけでは感動を与える作品にはならない。一方絵画にとって手先の器用さを求めるものを探してみたが、慎重さ、丁寧さを必要とするものはあるが器用さを必要とするものは知らない。むしろ器用さは邪魔なだけである。

 水墨画には写意画、大写意画といった画法があり、滲みを大切にすること、またたらし込み、溌墨といった技法等々偶然に任せることを考えると、最も手先の器用さから遠い存在と思われる。油絵、日本画などは塗り重ねて作品を作り上げていくのが基本といえる。塗り重ねを行うには大胆さとは違ってはみ出さないようにするなど慎重さが求められる。しかし器用さとは違うだろう。

 あえてにじむ紙を用い、人知を超えた何かを取り込んで描くという手法は水墨画以外にはないだろう。水墨画は器用だから描けると思いこんでることに違和感を覚える。

 

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              栗庵水墨画教室 安達喜一
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